話題になっている映画『ルックバック』を観てきました。
藤本タツキによる漫画が原作。
藤野と京本、二人の少女が漫画家を目指して切磋琢磨する物語です。
原作が大好きだったので、映画化が決定した瞬間から観にいこうと決めていました。
私がこの作品を好きな理由は、漫画に対する情熱がとめどなく溢れているから。
火花のようにほとばしる、創作に対するエネルギーを感じることができるからです。
同じように漫画の漫画である『これ描いて死ね』ともテーマは共通していると思います。
主人公がまわりの圧力にも負けずに、純粋に好きなことを貫き通す。
ひたすら漫画を描く藤野の後ろ姿には神々しさすら感じます。
藤野と京本という2人の天才が切磋琢磨する姿も良かったです。
まるでThe Beatlesのポールマッカートニーとジョンレノン。
『ピンポン』の星野と月本みたいな関係ではないですか。(名前もちょっと似ているし)
天才同士が故に、二人の関係は長くは続かない。
しかし、だからこそ二人で作った作品は刹那的な美しさがある。
そんな奇跡的な瞬間を、この作品は切り取っているように感じます。
今回の映画で一番好きな場面は、雨の中藤野が走って家に帰るシーンです。
漫画をやめた原因をつくった京本が、実は自分のファンだったと知った藤野。
雨の中、苦しそうな顔で田んぼのあぜ道を不恰好に走る。
それなのに画面全体から伝わってくる喜びの感情。
表現方法が逆ジブリ。(「青空の下、少女が笑顔で颯爽と駆けていく」の逆という意味です)
この躍動感に私は全身を貫かれました。
そして、何度目かわからない涙をはらはらと流しながら、その感動に打ち震えるのでした。
1時間弱とは思えない濃密な時間。
決して明るい話ではないのだけれど、見終わった後は不思議と生きていく強さをもらえる作品です。
世の中理不尽なことばかりが起こるけれど、それでも前を向いて生きていくしかない。
つまりは「Don’t Look Back in Anger」ですね。
ではでは。
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