【映画】『花束のような恋をした』感想

映画

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純度の高い恋愛映画。

観ている人の「こうあってほしい」を叶えてくれる「妄想恋愛あるある映画」(そんなジャンルはないと思いますが)と言えます。

自分と趣味がピッタリ同じ相手との出会い。

好きなものに囲まれたふたり暮らし。

社会人になることで押し寄せる現実的な問題。

すれ違っていく二人の心。

そして往生際の悪い別れ。

別れ方まで含めてすべてが理想的。

初めて麦の家に行った絹が、本棚を見て言う「ほぼ私の本棚じゃん」というセリフは本好きなら一度は言ってみたい/言われたいセリフだと思います。

麦と絹。別れの原因を作ったのはどっちかという話になった時に、大多数が麦と答えると思います。

実際に私もそう思います。

だけど憎めない。

麦にはそんな純粋さがあります。

大学卒業後は夢であるイラストレーターになるために頑張り、だけど結局生活のためにサラリーマンの道を選ぶ。

サラリーマンになったらなったで急に仕事人間になって迷走しはじめる。

そもそもすべてはずっと絹と一緒にいたいがための行動なんですよね。

一方で、そのような行動の少しずつが絹をがっかりさせてしまったのだと思います。

そう考えると麦がちょっと可哀想になってしまうのです。

結局麦くんはどうすれば良かったのでしょうか。

この二人を見ていると、人はこうやって少しずつ「普通の人間」になって社会に溶け込んでいくんだな、とほろ苦い気持ちでしみじみと思います。

若い時はみんな「自分たちだけは特別だ」と思っているんですけどね。

いつの時代も若者の前に立ちはだかる「現実」や「社会」の壁。

なかなか手強い。

でも、そうやって清濁合わせ飲んで生きていくのが人生。

忙しい日々に疲れた時、胸の中にしまっていた宝物のような恋愛をふと思い出す時がくる。

それらの美しい思い出をひとつひとつ手にとって、ひとりで心を静かに震わせる。

そしてその記憶を糧に、また明日から頑張る。

それはそれで素敵な人生だと思いますが、みなさんはどう思いますか?

幸せではない、だからといって不幸でもない。

「自分の人生の意味とは?」など、やっかいな思考の袋小路にはまった時に見返したくなる作品だと思います。

花束はいつだって自分の手元にある!

ではでは。

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